キムリア®輸注の際にはインフュージョンリアクションと呼ばれる、投与時のそう痒、発疹、発熱、悪寒、悪心、呼吸困難等の症状が現れることがあるので、予め抗ヒスタミン剤などの投与が行われます。最も重要な合併症はサイトカイン放出症候群(CRS)と呼ばれる、CAR-T細胞の活性化に伴って放出されるサイトカインによる全身の炎症による症状です。臨床症状はインフルエンザ感染症に似た様々な症状がみられます。重症化すると心不全、腎不全、肝障害などを伴うことがあり厳重な観察が必要です。症状の重症度に応じて、輸液、解熱剤、酸素投与などの支持療法に加えてトシリズマブ(アクテムラ®)やステロイドなど炎症を抑えるための薬剤が使用されます。その他、せん妄、浮動性めまい、意識障害などの神経系の症状(5-2. 神経毒性 (ICANS) をご覧下さい)や、腫瘍崩壊症候群、血球減少とそれに伴う感染症、などにも注意が必要です。時として、集中治療室(ICU)での全身管理が必要となることもあります。これらの症状の観察や治療のため、一般的にはキムリア®輸注後1〜2ヶ月程度の入院が必要となります。長期的には低ガンマグロブリン血症や免疫不全状態に注意が必要です。