一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 Japanese Society for Transplantation and Cellular Therapy

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第46回日本造血・免疫細胞療法学会総会
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8. 用語解説

最終更新日:2023年7月6日

ブリッジング(橋渡し)治療

白血球アフェレーシス終了後、CAR-T細胞の輸注に先だって行うリンパ球除去化学療法開始までの間、腫瘍に対する治療を行うことがあります。これをブリッジング(橋渡し)治療とよびます。これは、腫瘍による症状をコントロールする目的や、腫瘍が増大することによって臓器の働きに影響がでることを防ぐ目的で行います。ブリッジング治療としては、化学療法、抗体療法、ステロイド薬などの薬物療法や、放射線療法が用いられます。ブリッジング治療の内容は、患者さんのこれまでの治療歴や、腫瘍の状態(大きさ、症状の有無など)、血液の状態などを参考にして決められます。

腫瘍崩壊症候群

悪性腫瘍の治療の際に抗がん剤などの治療効果が強く出て、腫瘍が急速に死滅(崩壊)するときに起きます。血液中の尿酸が増える、カリウムなどの電解質のバランスが崩れる、血液が酸性になるなどして、腎不全が起こったりする状態です。

無イベント生存率

腫瘍の進行や再発と判断された時点、またはあらゆる原因による死亡日までの期間のことです。

二重特異性抗体

抗体は同じ標的に結合する部分が2つある構造をしていますが、二重特異性抗体は別々の標的に結合する部分をそれぞれ1つずつ持っています。ブリナツモマブの場合、片方はCD19に、もう片方がCD3に結合することができ、結果としてCD19陽性の腫瘍細胞とCD3陽性のT細胞をくっつけて、T細胞に腫瘍細胞を攻撃させる仕組みとなっています。

プロテアソーム阻害剤

細胞内の不要なタンパクを分解するプロテアソーム(酵素)を阻害することでタンパク質を細胞内へ蓄積させ細胞の自滅を引き起こします。多くのがん細胞では細胞増殖のためにタンパクが多量に産生されているため効果が出やすく、抗体を大量に作る骨髄腫細胞には効果が期待されます。例として、ボルテゾミブ(ベルケイド®)、カルフィルゾミブ(カイプロリス®)、イキサゾミブ(ニンラーロ®)等があります。

免疫調節薬

作用機序はまだ十分には解明されていませんが、造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用、免疫調節作用としてナチュラルキラー(NK)細胞の活性化や制御性T細胞の抑制があります。催奇形性をもつことから厳格に管理する必要がある。略号としてIMiDsが使われますう。例として、サリドマイド(サレド®)、レナリドミド(レブラミド®)、ポマリドミド(ポマリスト®)などがあります。

抗CD38モノクローナル抗体製剤

CD38抗原を細胞表面に出している細胞に結合し、補体依存性細胞傷害、抗体依存性細胞傷害などの作用で殺細胞効果を示す抗体です。例として、ダラツムマブ(ダラザレックス®、ダラキューロ®)、イサツキシマブ(サークリサ®)があります。

G-CSF

顆粒球コロニー刺激因子の略号で、骨髄での好中球の産生と放出をうながすサイトカインの一種で、ホルモンのように働きます。

殺細胞性の抗腫瘍薬

抗体や免疫調節薬、分子標的薬と異なり、分裂の盛んな細胞の核酸合成や分裂等を阻害して直接細胞傷害を来す従来の抗腫瘍薬をさします。

トシリズマブ(アクテムラ®

サイトカインの一つであるインターロイキン6の信号を伝える受容体に結合する抗体で、信号をブロックすることで炎症を抑えます。

緩和治療(ベストサポーティブケア、BSC)

悪性腫瘍に対する積極的な治療を行わずに症状緩和の治療のみを行うことです。痛みの緩和や生活の質の維持などが含まれる。標準治療がまだ確立されていない場合、無作為比較試験の1つの選択肢となる場合があります。

レジメン

レジメンとは、薬物治療に際して、薬剤の種類・量、投与期間、順番などを時系列で示した計画書で、1セットが3-5週間で終了するものが多く、「クール」と呼んだりする。一連のレジメンを「ライン」と呼ぶことがあります。

ライン

ラインとは、それぞれの腫瘍性疾患に対して、計画された一連のレジメンをラインと呼びます。一般的にまず行うべきとされている治療が「ファーストライン」で「一次治療」と呼ぶこともあります。再発や進行があるとセカンドライン(二次治療)、サードライン(三次治療)の順に実施されます。

低ガンマグロブリン血症(長期的な正常B細胞および形質細胞の減少による免疫グロブリンの低下)

免疫グロブリンは病原体などを中和したり、攻撃する重要なタンパクですが、これを産生するのが形質細胞であり、形質細胞の未熟なものがB細胞となります。化学療法・放射線療法によって腫瘍のみならず正常な血液細胞もある程度障害を受けますが、その際にB細胞も減るため、結果として抗体が減ります。CAR-T細胞でB細胞性腫瘍や骨髄腫細胞を攻撃すると、正常B細胞や形質細胞も障害を受け、抗体が減ることになります。

全生存率(Overall survival、OS)

臨床試験において治療法の開始日から一定の時点で患者さんが生存している割合です。

奏効割合(Overall Response Rate、ORR)

あるがん治療薬を患者さんに投与した際、その治療を実施した後にがん細胞が縮小もしくは消滅した患者さんの割合を示す数値です。

完全奏効割合(Complete Response、CR)

何らかの治療の後に完全に腫瘍が消失した患者さんの割合を示す数値です。完全奏効とも呼ばれます。 これに対して腫瘍が全体の30%以上消失した状態を部分奏効(Partial Response、PR)と呼びます。

無イベント生存率(Event-free survival、EFS)

治療開始から病勢進行や再発した時点、またはなんらかの原因による死亡日までの期間をいいます。

臨床試験

新しい薬や放射線治療などを用いた治療などに対して、その効果や安全性について確認するために行われる試験のことです。治療の効果や安全性をきちんと確かめるために、計画的に試験を行い、科学的に効果を確めるのが目的です。臨床試験の中でも、厚生労働省から薬として承認を受けることを目的として行う場合は「治験」と呼びます。

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