CAR-T細胞は患者さん由来の正常T細胞に遺伝子導入を経て作成されることから、可能性として予期せぬ遺伝子の障害をもたらすことが、指摘されてきました。米国からの報告では、2023年12月31日段階で、キムリア®を含む全てのCAR-T細胞療法後の追跡調査でT細胞性のがんが22例に確認されたとの報告がなされました6)。米国では6種類のCAR-T細胞製剤が使用され、報告時点で27,000回以上の投与がなされていることから、その頻度は非常に低いといえますが、少なくとも一部ではがんにCAR遺伝子が検出されたことから、遺伝子導入によって正常T細胞ががん化したものと推測されています。日本でもCAR-T細胞療法後の患者さんは再生医療等製品として15年間の長期にわたるフォローアップが義務付けられており、今後、晩期合併症を含む副作用について知見が集積していくと考えられます。