キムリア®治療後も長期的には半数程度の患者さんが再発することが知られています。根治的な治療としては、化学療法により再度寛解を得た後に可能であれば同種造血細胞移植を行いますが、患者さんの治療歴や全身状態に応じてどのような治療を目指すのか、慎重に検討する必要があります。キムリア®以外のCAR-T細胞製品も含まれた欧米の報告によれば4)、CD19を標的としたCAR-T細胞療法を受けたALLの患者さんで再発を来した57例の1年全生存率は52%とされました。注目すべきはCD19の発現が保たれた再発患者さんの1年全生存率は68%、CD19陰性となった再発患者さんの1年全生存率は30%と、CD19陰性再発で明らかに予後が劣ることが示されました。これは、CD19陽性再発ではブリナツモマブ(ビーリンサイト®)などCD19を標的にした治療の選択肢が残されていることが一因と考えられます。いずれにせよ、これまでの治療歴から、効果が期待できる薬剤を選択し、根治を目指すことが可能な場合には同種造血細胞移植を視野に入れて治療を行います。なお、現在、キムリア®治療は一度のみ使用が認められており、複数回の治療を行うことは出来ません。
引用文献
4) Schultz LM, et al. J Clin Oncol. 2022.