CAR-T細胞療法を選ばない場合の治療選択肢としては、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植(同種移植など)、二重特異性抗体薬、臨床試験(未承認・適応外薬の治験を含む)などがあります。どのような治療が選択肢となるかは、リンパ腫の状態や、これまでの治療、患者さんの状態、患者さんの希望等によってさまざまです。リンパ腫に対する治療は行わず、症状をコントロールすることを目的とした治療(緩和治療といいます)も選択肢となります。二重特異性抗体薬は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫またはろ胞性リンパ腫で2ライン以上の前治療歴がある患者を対象として承認されています。CAR-T細胞療法の方が開発されてからより長い時間が経っているため、長期的な効果に関する情報が多くあります。一方、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の場合は、二重特異性抗体薬を先に受けた場合でも、CAR-T療法の効果が得られるという報告も少ないながら出はじめています。
移植適応のDLBCLに対する2つめの治療としてCAR-T細胞療法を選ばない場合、まず、多剤併用救援化学療法を行います。その効果によって、続けて自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を行うことがあります。また、3つめの治療としてCAR-T細胞療法を行うことも選択肢となります。