一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 Japanese Society for Transplantation and Cellular Therapy

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3-7. CAR-T細胞療法の成績

最終更新日:2025年5月14日

リンパ腫を対象としたCAR-T細胞療法として、キムリア®、イエスカルタ®、ブレヤンジ®という3つの製品が国内で承認されています。製品により、対象となる病型や治療ライン(これまで受けた治療レジメンの数に対応する)が異なります。また、それぞれの製品の臨床試験では、登録された患者さんの状態が異なるため、製品毎の成績を単純に比較することはできません

① 第3ライン(2つ以上の治療後に再発した場合)以降のDLBCL

2つ以上の治療後の再発・難治びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対して、キムリア®、イエスカルタ®、ブレヤンジ®が承認されています。臨床試験で、奏効割合(リンパ腫の病変が50%以上小さくなる方の割合)は53~83%、完全奏効割合(リンパ腫の病変が消失する方の割合)は39~58%で、奏効が得られた方のうち50%以上が1年以上に渡って効果が持続していました5)6)7)。最も経過観察期間が長い報告では5年生存割合が42%で、治療後2年経過後の再発は少なく、少なくとも一部の患者でCAR-T療法によりリンパ腫を治すことができることが示唆されています。

② 自家移植適応の高リスク第2ラインのDLBCL

自家移植適応の方で、初回化学療法後の完全奏効期間1年未満の再発・難治DLBCLに対して、イエスカルタ®、ブレヤンジ®が承認されています。臨床試験で、CAR-T細胞療法により奏効割合(リンパ腫の病変が50%以上小さくなる方の割合)は83~87%、完全奏効割合(リンパ腫の病変が消失する方の割合)は65~74%で、50%以上の方が1年以上にわたってリンパ腫の進行なく生存していました。この結果は、従来の標準治療(救援化学療法・自家移植併用大量化学療法)よりも良い成績でした8)9)

③ 自家移植非適応の第2ラインのDLBCL

自家移植非適応の方で、初回化学療法後の再発・難治性DLBCLに対して、ブレヤンジ®が承認されています。臨床試験で、CAR-T細胞療法により奏効割合は80%、完全奏効割合は54%で、奏効が得られた方のうち約50%が1年以上に渡って効果が持続していました10)

④ 第3ライン(2つ以上のレジメンでの治療後に再発した場合)以降のろ胞性リンパ腫

再発・難治性ろ胞性リンパ腫(FL)に対して、キムリア®、ブレヤンジ®が承認されています。両者は適応となる前治療歴の条件が異なっていますが、両者が適応となる2ライン以上の前治療歴を有する患者を対象とした臨床試験で、奏効割合は86~97%、完全奏効割合は69~94%で、80%以上の方が1年以上にわたってリンパ腫の進行なく生存していました11)12)。1ラインの前治療歴を有する高リスクの患者を対象としたブレヤンジの臨床試験で、奏効割合と完全奏効割合はともに96%でした12)

引用文献
5) Schuster SJ et al. Lancet Oncol 2021; 22: 1403-1415.
6) Neelapu SS et al. Blood 2023; 141:2307-2315.
7) Abramson JS et al. Lancet 2020; 396: 839-852.
8) Westin JR et al. N Engl J Med 2023; 389:148-157.
9) Abramson JS et al. Blood 2023; 141:1675-1684.
10) Sehgal A et al. Lancet Oncol 2022; 23:1066-1077.
11) Dreyling M et al. Blood 2024; 143:1713-1725.
12) Morschhauser F et al. Nat Med 2024; 30:2199-2207.

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