一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 Japanese Society for Transplantation and Cellular Therapy

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11-4. 大腿骨骨頭壊死、骨粗しょう症

最終更新日:2018年5月9日

骨粗しょう症とは、骨の強度や密度が低下して、骨折しやすくなる状態のことをいいます。骨粗しょう症になると、つまずいて手や肘をついた、くしゃみをした、などのわずかな衝撃で骨折してしまうことがあります。骨折しやすい部位は、背骨(脊椎椎体)、脚の付け根(大腿骨頸部)、手首(橈骨:とうこつ)などです。背骨が体の重みで押し潰れてしまうことを「圧迫骨折」と呼びます。造血細胞移植後に骨粗しょう症は25%の患者さんで発症すると言われています。原因として、これまでに受けられた化学療法や放射線照射、カルシニューリン阻害剤(シクロスポリンやタクロリムス)、ステロイドなどがあります。同種造血細胞移植を受けられた患者さんは、少なくとも移植後1年までに骨密度検査を行うことが推奨されています。ステロイドを使用している患者さんは、早期に検査を行うことを勧める専門家もいます。

骨量減少症および骨粗しょう症に対する一般的に推奨される予防法は、適度なカルシウムの摂取(1.2g/日以上)とビタミンDの摂取(1000単位/日以上)、規則的な荷重運動(骨に重力がかかる運動のことで、30分以上の歩行などです。エアロバイクは荷重運動になりません)です。喫煙や過量飲酒は骨量を低下させるので控えるべきです。若年女性では、移植後に卵巣機能不全となることが多いため、禁忌でなければホルモン補充療法が望ましいとされています。骨粗しょう症と診断された場合には、ビスフォスフォネート製剤による治療を行うことが一般的ですが、骨密度の回復は1年以上かかります。また、骨回復は腰椎から始まり、大腿骨頸部の回復は数年以上必要であることが知られています。ビスフォスフォネート製剤で注意する副作用として、頻度は高くありませんが顎骨壊死があります。顎骨壊死とは、顎の骨が壊死に陥り、歯茎の下に腐骨(ふこつ)とよばれる骨がむき出しになり痛みや腫れが出現します。発症した場合にはビスフォスフォネート製剤の中止と歯科処置が必要になります。顎骨壊死のリスクとして、口腔内の不衛生状態、抜歯などの侵襲的な歯科処置が知られています。口内の衛生状態をしっかり保つとともに、抜歯やインプラントなどの歯科処置を行う場合は、事前に医師に相談してください。ただし、通常の虫歯の治療はまず問題ありません。

大腿骨骨頭壊死とは、股関節の骨である大腿骨の骨頭部に局所的な血管障害が起き、骨頭の骨が壊死を起こす病気です。大腿骨以外に、膝あるいは肩関節に起こることもあります。同種造血細胞移植後の患者さんの5~20%に発症することが知られています。骨壊死が発症すると、強い痛みと骨の破壊が起こり、歩行や日常生活に大きな支障を来します。診断にはレントゲンやMRIなどの画像検査が必要です。治療は、軽症の場合は鎮痛剤による対症療法や、車椅子や杖などを使用して骨への負荷を減らすことが基本になります。進行した場合には、手術が必要になることもあります。疑わしい症状があった場合には、医師と相談し、状況によっては整形外科医への受診も必要です。

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