一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 Japanese Society for Transplantation and Cellular Therapy

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11-3. 内分泌疾患

最終更新日:2018年5月9日

造血細胞移植後には、甲状腺機能異常、脂質代謝異常、糖尿病、副腎不全などのさまざまな内分泌疾患の発症率が上昇します。甲状腺機能異常を来すと、全身倦怠感、体重増加、便秘、皮膚乾燥、月経異常などの症状が出る可能性があります。成長期の小児では、身長の増加不良、思春期発来の異常を伴うこともあります(「11-11. 小児の晩期毒性?」参照)。甲状腺機能は採血にて容易に測定することができ、移植後は毎年測定することが推奨されています。異常が疑われた場合は内分泌専門医への受診が必要ですので、医師と相談してください。

同種移植後の脂質代謝異常は、ステロイドやカルシニューリン阻害剤を使用することでリスクが高まります。脂質は主に、悪玉コレステロール(LDL)、善玉コレステロール(HDL)、中性脂肪の3種類がありますが、このうち、LDLと中性脂肪の増加は動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの病気のリスクを上昇させ、移植後の死亡リスクを高めることが知られています。脂質は採血にて容易に測定することが出来ますので、移植後は3か月に1回は脂質検査をすることが推奨されています。治療は運動や食生活の改善が基本になりますが、移植後の脂質異常は生活習慣のみでは改善しないことが多く、薬物療法を考慮することも多いです。具体的な治療方針は医師と相談して下さい。

同種移植後の糖尿病は、ステロイドやカルシニューリン阻害剤を使用することでリスクが高まります。移植後は3か月に1回は空腹時血糖値、HbA1c値、グリコアルブミン値などを確認することが推奨されています。糖尿病が進行すると、網膜出血、蛋白尿や腎機能障害、末梢神経障害(手足のしびれなど)が起きることがあります。糖尿病と診断された場合には、一般的には、食事制限や運動療法の他に、経口糖尿病治療薬やインスリンを用いることが多いです。

移植後に3か月以上ステロイドを使用していると、ステロイドを終了する際に副腎不全を来すことがあります。典型的には、ステロイドであるプレドニゾロンの量を一日あたり5 mgまで減量するスピードが速すぎると、倦怠感、電解質異常、低血圧、発熱などが出現することがあります。疑わしい症状がある場合には医師に相談して下さい。

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