一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 Japanese Society for Transplantation and Cellular Therapy

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11-2. 非感染性肺合併症

最終更新日:2018年5月9日

非感染性肺合併症とは、感染症でない原因により肺炎などが起こることです。主なものとして、閉塞性細気管支炎(BO)と器質化肺炎(COP)が挙げられます。

BOは肺のGVHDであり、同種移植後の発症率は5%程度とされています。しかし、他の臓器に慢性GVHDのある患者さんでは、発症率が15%程度あるとされているため、定期的に(3か月程度ごとに)肺機能検査を受けることが望ましいです。発症時期は同種移植後2年以内が多いですが、それよりも遅くに発症する場合もあります。BOの症状としては、労作時の息切れや空咳、喘鳴(ぜーぜーした呼吸)などがありますが、これらの症状は進行して初めて自覚されることが多く、早期には症状を伴わないことが多いです。通常、胸部レントゲンやCT検査では異常陰影は無く、呼吸機能検査で閉塞性障害(息が思いきり吐きづらくなること)が出現します。治療は、ステロイド内服を行うことが基本です。最近の研究でステロイド吸入、マクロライド系抗生剤内服、モンテルカスト内服を併用すると治療効果が高いことが明らかになっています。低下した呼吸機能は回復しないことが多いですが、呼吸機能を安定化させ、悪化させないことが重要です。進行すると、呼吸不全が強まり、酸素吸入が必要になり、致命的になるため、診断がついたらなるべく早く治療を受けることが大切です。

COPの発症率は10%弱と報告され、同種移植後半年から1年に起こることが多いです。免疫抑制剤を終了して数か月したところで発症することもよくあります。COPの症状としては、空咳、微熱、息切れなどがあります。BOと異なり、通常、胸部レントゲンやCT検査で、異常陰影を認め、呼吸機能検査では、拘束性障害(肺が膨らみにくくなること)が出現することが多いですが、異常が出ないこともあります。感染症による肺炎を否定することが重要であり、診断には気管支鏡検査が有用です。治療はステロイドが用いられ、一般には60~80%のケースで改善します。BOと比較すると予後は良好ですが、ステロイドに反応が悪いケースでは、致命的になることもあります。また、ステロイドは6か月以上必要になることが多く、ステロイド減量中にCOPが再燃することもよくあります。

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