現在、多発性骨髄腫に対する治療としては主にプロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤などの新規薬剤や、従来から使用されている殺細胞性の抗腫瘍薬などが挙げられます。
多発性骨髄腫に対するCAR-T細胞療法の適応となるタイミングとしては、
1. これらの3種類の新規薬剤を全て投与したことがあること。
かつ、
2. 直近で行っている治療に再発もしくは難治性の場合であること。
の両方の条件を満たすことが必要となります。
また多発性骨髄腫に対するCAR-T細胞は骨髄腫細胞の表面にあるBCMA(B細胞分化抗原)を標的としています。そのため、過去にこのBCMA抗原を標的とする治療(執筆時点では基本的に治験のみとなります)をすでに受けた方は対象となりません。また形質細胞性白血病に移行した患者さん、中枢神経に病変を有する患者さんも同じく現時点ではCAR-T細胞療法の対象とはなりません。