骨髄、末梢血幹細胞あるいはさい帯血の輸注は、移植前処置終了後1~2日後に病室で行います。いずれも中心静脈カテーテルもしくは末梢の静脈から輸血と同じように点滴で注入(輸注)します。
① 輸注時に吐き気や不整脈などが現れる場合があります。このため事前に副作用予防、アレルギー予防の薬を投与します。
② 輸注直後は、壊れた赤血球が尿に混ざって赤くなることがあります。壊れた赤血球を処理する薬剤(ハプトグロビン)を事前に投与したり、輸注後に尿の潜血反応をチェックして対策をとります。また、輸注液の量が多いときは利尿剤を併用することがあります。
骨髄移植では、赤血球の血液型が一致している場合は、約1リットルの骨髄液を4~5時間以上かけて輸注します。血液型が一致していない場合は大部分の赤血球もしくは血漿を除去するため、輸注量は200ml程度と少なくなり、輸注時間も短くなります。
末梢血幹細胞移植は、血液成分分離装置を使用してドナーさんから採取した造血幹細胞を輸注します。血縁者間末梢血幹細胞移植の場合は、ドナーさんよりあらかじめ末梢血幹細胞を採取し、凍結保存した後、移植に合わせて幹細胞を解凍して輸注する場合があります。輸注時間は採取量にもよりますが、30分程度です。凍結した幹細胞を解凍して輸注する場合には、凍結保存する際に使用した細胞保護液の影響でニンニク(大蒜)に似た臭いを感じ、頭痛、吐き気などが生じることがあるほか、呼気に出てくるのでしばらく部屋が臭うことがあります。なお、末梢血幹細胞の場合は、必要な細胞だけを集めて保存しているので、赤血球は少ししか含まれておらず、ドナーと患者さんとの間の血液型の不一致は問題になりません。
さい帯血は、赤ちゃんが生まれてさい帯(へその緒)を切り離した後に、さい帯と胎盤に残っている血液を採取し、バックに凍結保存されたものです。保存されたさい帯血は、移植前にさい帯血バンクから各移植施設に届けられ厳重に保存されます。凍結保存されていたさい帯血を移植当日に解凍し、中心静脈カテーテルもしくは末梢の静脈から注入します。輸注量は20~40mlで、輸注時間は5~10分程度で終了します。また、さい帯血移植は輸注するさい帯血の量が少ないため、血液型の不一致は問題になりません。