一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 Japanese Society for Transplantation and Cellular Therapy

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7-4. 生着

最終更新日:2018年5月9日

生着

白血球のうち、好中球の数が500個/μL(mm3)を超える日が3日間続いたら、その1日目を「生着日」と呼び、移植した造血幹細胞が骨髄で新しい血液をつくりはじめたことになります。骨髄移植で2?3週間、末梢血幹細胞移植では約2週間、さい帯血移植では約3?4週間で好中球の生着を迎えます。その後、少し遅れて赤血球や血小板数の増加がみられ、次第に赤血球および血小板の輸血が不要になります。一方、まれに白血球が増えてこない、あるいは一度増えた白血球が再び減少してしまうということがあります。これを「拒絶」もしくは「生着不全」といいます。この場合、造血幹細胞を再度採取して輸注したり、ドナーのリンパ球を血液から数10mL採取して投与することもあります。また、白血球が増えてくる時期に前後して、感染症でない発熱や皮疹、肝障害、体重増加、下痢などが出現することがあり、このような症状を「生着症候群」といいます。

生着不全・再移植

ドナーさん由来の造血幹細胞が、患者さんの骨髄の中で血液を作り始めることを「生着」といいます。一般的に、生着とは、白血球の一種である好中球が3日間連続して500個/μL(mm3)以上に増えることであり、その最初の日を生着日とします。血液型や染色体(X染色体とY染色体を使います)、遺伝子検査(マイクロサテライトと呼ばれる遺伝子マーカーを使います)で増えてきた血液細胞がドナー由来であることを確認する場合があります。

生着までの期間は、骨髄移植で2?3週間、末梢血幹細胞移植では約2週間、さい帯血移植では約3?4週間を要します。移植後28日を過ぎても生着が認められない場合を「一次性」生着不全、いったん生着が認められたもののその後に血液を作る能力が失われた場合を「二次性」生着不全といいます。

生着不全の危険因子には、輸注された幹細胞源がさい帯血であること、移植細胞数が少ないこと、HLA不適合度が高いこと、骨髄非破壊的前処置の使用、診断が再生不良性貧血や非腫瘍性疾患であることなどがあります。生着不全を確実に防ぐ方法は見つかっておりませんので、生着不全と診断すれば、速やかに再移植(もう一度、造血幹細胞移植を行うこと)が必要になります。

生着症候群

生着の前後にサイトカインという免疫に関与する物質が過剰に産生・放出され、多彩な症状が出現することがあり、生着症候群と呼ばれています。発熱、浮腫、胸水、腹水などの体液貯留傾向、皮疹、肺浸潤影、肝障害、下痢などの所見があらわれます。

特にさい帯血移植後9日前後には、感染症を伴わない高熱、体重増加、皮疹などが見られ、生着前免疫反応と呼ばれています。いずれも、GVHDとよく似た症状で、区別することが困難な場合もあります。GVHD同様にステロイドなどで治療します。

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