骨髄移植や末梢血幹細胞移植のドナーとなるためには、造血幹細胞の提供についての明確な意思を有していること以外に、原則として以下のような条件が必要となります。血縁者に対する造血幹細胞の提供や、骨髄バンクへのドナー登録を検討される際には、当てはまるものがないかご自分でも確認してみてください。なお、さい帯血の提供については「11.さい帯血を提供する」をご覧ください。
また、これらに加え、提供に関して家族や支援者の理解が得られていることもドナーとなるための大切な条件の一つと考えられます。このような様々な条件は、医学的に造血幹細胞の提供を安全に行っていただくために必要と考えられるもので、ドナーとしての「適格性」と呼んでいます。
なお、ドナーとして適格とされる年齢については、日本骨髄バンクのドナーでは20歳以上、55歳以下と定められています(注:厳密には登録は18歳からで、コーディネート開始は20歳からとなります)。一方、血縁者のドナーの場合、それぞれの移植施設毎に一定の基準が設けられており、20歳未満や56歳以上でもドナーとなることができますが、日本造血・免疫細胞療法学会ドナー委員会では、骨髄ドナーは1歳から65歳、末梢血幹細胞ドナーは10歳から65歳を血縁造血幹細胞(骨髄・末梢血)ドナー傷害保険に加入できる基準年齢に定めています。その中でも18歳未満および61歳以上のドナー候補者については、施設の倫理委員会での審議を経るなど、各施設の責任でより慎重に適格性を判定することが推奨されており、特に小児や自己判断力が十分ではない成人がドナー候補者となる場合には、様々な倫理的配慮が必要となります。
注1) 日本造血・免疫細胞療法学会ドナー委員会では、血縁ドナーの場合、転移のリスクが少ない上皮内がんで1年以上無再発の場合や進行がんでも治療後5年以上無再発で経過していれば、適格性を有すると判定することが可能と定めている。
注2) 日本造血・免疫細胞療法学会「ドナー委員会」では、出産後は1年以上、流産・人工妊娠中絶後は6ヶ月以上経過していれば適格性を有すると定めている。
注3) 遺伝的に特別な体質を持つ場合に発生する全身麻酔時の重大な合併症で、全身の筋肉が収縮し、発熱が制御できなくなる病態。発症した場合、ダントロレンという薬剤で治療が可能であるが、奏効せず致死的となる場合もある。