標準治療に反応したリンパ芽球性リンパ腫(Lymphoblastic lymphoma: LBL)は80%以上の無病生存が見込めるが、寛解導入不能例や再発例といった難治性LBLの予後はきわめて不良である。この難治群に対し、標準的救済治療は欧米を含めて存在していない。このため、「再発・治療抵抗性リンパ芽球性リンパ腫 StageⅢ/Ⅳに対するDexICE治療の有効性及び安全性を検証する多施設共同第Ⅲ相臨床試験ALB-R13」を立ち上げました。これまでの後方視的解析では、再発難治例において、救済治療後反応した例に同種移植を併用すると成熟Bホジキンリンパ腫のようなリンパ腫と異なり効果があることが示されている(Mitsui et al. Pediat Blood Cancer 52:591-,2009, Pediatr Blood Cancer. 2020 Apr;67(4):e28129)。
この臨床試験は18歳までの難治小児若年者LBLにおいて、DexICE治療の有効性及び安全性、反応があった例に同種移植を行うことによる治療有効性を前向きに検証するものである。
未だ標準救済治療のない治療抵抗性・再発LBLに対しデキサメサゾン(DEX)、イホスファミド(IFO)、カルボプラチン(CBDCA)、エトポシド(VP-16)を、用量密度を上げたかたちで投与(DexICE治療)し、その有効性、安全性を評価するとともに、反応があった例に引き続き同種移植を行うことで生存期間の延長が図れるかどうか検討し、難治例の標準的救済治療確立を目指すものである。附随して、初期治療不応・再発例の遺伝子学的特性を探索し新たな層別化治療の基盤確立や難治因子の解明も行う。
多施設共同第Ⅱ相特定臨床試験
三井 哲夫
山形大学医学部附属病院小児科
三井 哲夫
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