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高カルシウム血症の有害事象について

最終更新日:2021年3月22日

このたび、血縁ドナーの末梢血幹細胞採取において意識障害を伴う高Ca血症の有害事象が報告されました。以下に症例情報とドナー委員会の総括を提示します。移植医各位におかれましては、この事例を参考にしていただき、安全な造血幹細胞採取を心がけていただくようお願い申し上げます。

症例情報

  • 報告年:2020年
  • 事象名:高カルシウム血症
  • ドナー年齢:40歳台
  • 性別:女性
  • 採取幹細胞種類:末梢血幹細胞
  • 発現日:採取日および採取後1日まで
  • 転帰:軽快

総括:

アフェレーシス工程自体は通常から大きく逸脱したものではないが、ドナーが過換気による呼吸性アルカローシスをきたしていた。これにより蛋白結合性カルシウムが増大してイオン化カルシウムの割合が低くなるため、通常にもまして低カルシウム血症の症状(テタニー)が強く生じていた。これに対し、カルチコール補充で対応したところ、pHが回復してくるに伴い、高カルシウム血症をきたした。アフェレーシス終了によってACD-A液の注入が終了した後もカルチコールが継続されていたことも、高カルシウム血症に関与したと推測される。

このような事象は今後も起こりうるものであり、低カルシウム血症の症状が過換気によって増悪している可能性が考慮される場合には、ACD-A液の注入速度を下げるなど、カルシウム補充以外の対処方法を試みること、アフェレーシス終了後はACD-A液によるカルシウムキレート作用が急速に消失することから、カルシウム追加を慎重に行うことを推奨する。

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